第8回 ふとした疑問。能舞台の松の絵は何?
こんにちは。あっという間に、若葉萌える季節になりましたね。いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回は能舞台に関するふとした疑問を探ってみようと思います!
舞台の背景には、松の絵が描かれていますが、「なぜに松?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
実はこの松には、モデルとなった木があります。
春日大社の「影向(ようごう)の松」という老松です。
現在は、残念ながら切り株しか残っていませんが…
昔、神様がこの松に乗り移って舞をまい、疫病を退散したそうです。
それ故、松に向かって舞うのが本来の形ですが、観客にお尻を向けて舞う訳にはいきません。
そこで「あくまでも松に向かって舞っています」という事で、背景を「鏡に映した松」にしたそうです。
ですので、この松は「鏡松」と呼ばれています。
鏡松は、能舞台の命とされ、有名な画家によって描かれることもあります。
同じ松の絵はありませんので、能楽堂に行かれたら鏡松もぜひ鑑賞してくださいね。
(ちなみに、名古屋能楽堂の松は一年ごとに「若松」と「老松」で入替ります。)
(スタッフF)