第22回 文楽『仮名手本忠臣蔵』の世界/四段目のみどころ
こんにちは。暑くなったり、突然の豪雨に見舞われたり…と、本格的に夏の気配がしてまいりました。いかがお過ごしですか?
さて今回は、前回に引き続き『仮名手本忠臣蔵』についてのお話です。前半最大の見せ場、「塩冶判官切腹の段」をご紹介します。
三段目で殿中で刃傷沙汰を起こしてしまった塩冶判官に、いよいよ切腹の命が出されます。
粛々と切腹の準備を整えていく間、演奏と語りは休止される「待ち合わせ」という表現が使用されます。
人形の動きを際立たせるための演出ですが、待ち合わせの最中も、太夫(語り)は気持ちを持続させ息をつめて、厳粛な場面を演じているのです。
切腹後の塩冶判官の息遣いは、太夫が腹に力をこめ、呼吸の乱れをうまく表現します。
最期まで、大名としての品格を落とさず、苦痛をあらわにしません。
そして遅れてやってきた由良助に、「我が鬱憤を晴らさせよ」と無念さを絞り出すように語られます。
人形の動きも派手な演出はありませんが、肩を上下に揺らす苦しい呼吸、わずかな体の震えなど、細かい動きに注目です!
日本人ならではの演出がつまった、文楽。 是非、きものでご鑑賞くださいませ!!
(スタッフF)